12/05/23 賃料滞納と自力救済

賃貸人の賃料滞納者に対する自力救済(法律上の手続によらない追い出し行為など)はどこまで許されるでしょうか。行き過ぎた行為は不法行為と評価される危険があるため注意が必要です。

東京地裁H12.12.22判決
コンテナボックスの賃貸借契約において,賃借人が賃料を約2年分滞納し,連絡もほとんど取れない状態であったため,賃貸人がコンテナボックス内にあった賃借人の荷物(商品)を賃借人に無断で廃棄したという事案

この事案における裁判所の判断は以下の通りです。
自力救済は原則として法の禁止するところであり,ただ,法律の定める手続きによったのでは,権利に対する違法な侵害に対して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別な事情が存する場合において,その必要の限度を超えない範囲において例外的に許容されるに過ぎない(最高裁S40.12.7)。」
「原告(賃借人)は,2年余りにわたって賃料を滞納し,連絡がとりにくくなっていたという事情が認められるものの,被告(賃貸人)は,法律の定める手続,すなわち,訴訟を提起し,勝訴判決に基づく強制執行を行うことができるのであって,右の手続によっては被告(賃貸人)の権利を維持することが不可能または著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情があったと認めることはできず,廃棄処分の社会的相当性を肯定することはできない。」
裁判所はこのように述べた上,賃借人にも過失があったとして,賃貸人にコンテナ内の荷物の評価額の5割(約75万円)を賠償するよう命じました。

この裁判例からお分かりの通り,裁判所は,緊急やむを得ない事情がある場合にしか自力救済を認めていません。
自力救済によらなければならない緊急やむを得ない事情とは,法律の定める手続(明渡訴訟や強制執行)を踏んでいたのでは建物の所有権が侵害されてしまう(火事になったり異臭が染み付いたりして建物自体が損害を受ける)場合を指します。
したがって,単なる滞納案件で自力救済が許容される余地はまずないといってよいでしょう。

賃貸借契約解除以前はもちろん,解除後であっても,放置された家財を無断で処分することは不法行為と評価される可能性が高く,またそもそも無断で貸室内に立ち入ること自体,住居侵入に該当しますので,くれぐれも注意が必要です。

不動産管理(不動産関連の方へ)の最新記事

法律に関する知識の最新記事

法律問題のご相談は弁護士法人アストラルへ
地元企業の健全な発展を法的にサポート 顧問契約のご案内
ページ上部へ戻る