破産するとすべての財産を失うと誤解される方も見えますが、破産は国の定めた制度ですから、破産者の人権にも配慮されており、そのようなことはありません。
破産者といえども生活していかなければなりませんから、ある程度の資産は手元に残されます(破産手続の規模によって手元に残せる資産の範囲は異なります)。
不動産は原則として手放さなければなりませんが、借家なら、そのまま家賃を支払い続ければ済み続けることができます。車も、価値の低いものであれば手元に残すことができます。
高齢の方は、保険を解約されたらもう加入できないと心配されますが、解約返戻金の少ない保険はそのまま維持できますし、場合によっては保険を買い取るという方法によって維持できる場合もあります。
家財道具などはそのまま手元に残されます。自宅へ裁判所の職員が来て家財道具を差し押さえるなどということはありません。
破産手続に必要な書類等はご自身か弁護士が取り寄せ可能なものですし、裁判所から自宅や勤務先などに照会されることも原則としてありません。
また、自宅に差押の張り紙などがされることもありませんので、ご近所に知られることもありません。
破産しても戸籍謄本や住民票に記載されることはありません。
パスポートも発行されますし、選挙権も失いません。
唯一記載されるのは、本籍地の市町村役場で発行される「身分証明書」です。これには破産宣告を受けていることが記載されています。
ただし、この身分証明書を取り寄せるのは,他人の後見人になるときなど、破産者には就くことができない職業(後記)に就くときなどで、それほど多くあることではありません。
そのほか、破産宣告を受けた際、官報にその旨が掲載されますが、一般の方が官報に目を通すことなどまずありませんから、ご家族や勤務先に知られることはないと言っていいでしょう。
弁護士に依頼した時点から、債権者からの取り立てはなくなります。
依頼を受けるとすぐに、弁護士からすべての債権者に通知がされますので、以降、債権者とのやり取りはすべて弁護士を介して行います。
破産するからといって勤務先や家族などに取り立てが及ぶことはありません。
また破産手続が完了すると、債務はすべて消滅しますので、以降取り立てを受けることはありません。
破産すると、その事実が信用情報に記録され,約5年から10年の間借り入れができなくなります(信用情報機関によって情報登録期間が違いますので一定ではありません)。
また債権者は、信用情報機関とは別に内部情報として破産の事実を記録しますので、同じ債権者からは借りられなくなるでしょう。
信用情報が回復するまでは,ETCカードを作ったり、携帯電話を分割払いで購入したり、車をローンで購入するなどの行為もできなくなります。
①後見人、保佐人、遺言執行者などの公法上の職務
②弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、弁理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、社会保険労務士、中小企業診断士、通関士、建築士、宅地建物取引主任者、旅行業務取扱主任者、公証人、商品取引所会員、人事院の人事官、国家公安委員会委員、都道府県公安委員会委員、検察審査員、公正取引員会委員、教育委員会委員、建設工事紛争審査委員会委員、簡易郵便局、貸金業者、質屋、生命保険募集人、損害保険代理店、証券会社外務員、有価証券投資顧問業者、旅行業者、警備員、警備業者、通関業、宅地建物取引業者、建設業者、産業廃棄物処理業者、外国証券業者、風俗営業者、風俗営業所の管理者などの私法上の職業
ただし、破産手続開始決定後、免責許可決定確定までの間だけであり、その後復権します。
なお、株式会社の取締役、監査役については、破産手続開始決定によって当然に退任したものとみなされます。
破産したことによるもっとも大きなデメリットは、以降どこからも借り入れができなくなることです。ですが、借り入れについては総量規制(年収の3分の1までしか借り入れができないとする規制)が設けられていますので、破産をご検討の方は、もともとこれ以上借入ができない方が一般的です。そう考えると、デメリットは少ないと言えるのではないでしょうか。
※コンテンツ内で事例をご紹介する場合、作成当時の法律に基づきますので最新の判例と異なる可能性があります
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