ケース7 社員の福利厚生

【事例】

女性従業員Gさんの給料を差し押さえるという裁判所からの通知がA社に届いた。
A社長が事情を聞くと、夫が事業をしており、夫婦で事業資金の借入の保証人になっているが、夫が事業に失敗したため、返済を請求されているという。


Gさんは「給料を差し押さえられたら暮らしていけない。仕事を辞めるしかない」と取り乱した様子だが、Gさんは非常にまじめな良い社員で、顧客の信頼も厚い。A社長としては、今後もGさんに仕事を続けてほしいと思っている。

【顧問弁護士なし】

A社長が裁判所からの通知をよく読むと、差し押さえられたのは給料の4分の1にあたる額になっていました。とはいえGさんの家庭では、いまやGさんの収入だけが頼りなのに、Gさんの給料が4分の1も減ってしまったら立ち行きません。


「それなら給料の額が今月は少なかったことにすればいい。給与明細の額を変えておけば分からないだろう。」A社長はそう考えて、裁判所にGさんの給料額を少なく申告しました。


するとしばらくして、Gさんの給料を差し押さえた債権者が、なんとA社を相手に裁判を起こしてきたのです。


A社では慌てて弁護士に裁判対応を依頼しましたが、裁判ではGさんの過去の給料額が明らかになってしまい、A社は過少申告していた給料分を債権者に支払わなければならなくなったばかりか、弁護士費用などで予想外の損失を被ってしまいました。


その結果、A社の社内ではGさんへの風当たりが強くなり、結局Gさんは差押から数か月で退職を余儀なくされることになったのです。

【顧問弁護士あり】

A社長は裁判所からの通知をすぐに顧問弁護士にFAXして指示を依頼しました。
するとすぐに顧問弁護士から、裁判所からの通知に添付されていた「陳述書」にどのように記載すればいいのか具体的な記載内容の指示が送られてきました。


また顧問弁護士は、Gさんとの面談を行い、Gさんとその夫はすぐに破産の手続を行うべきこと、それによって今後給料の差押を解除できることなどを説明しました。


Gさんは顧問弁護士に手続を依頼し、給料の差押を免れることができました。Gさんは、顧問弁護士の適切な処理によって保有していた財産のほとんどをそのまま手元に残すことができ、その後もA社の優秀な社員として業績に貢献を続けることができました。

【コメント】

優秀な人材の確保・育成はどの会社にとっても常に重要な課題です。
そのためには社員の会社に対するロイヤルティ(忠誠心・愛着心)を育てる必要がありますが、それに有効なのが福利厚生制度の充実です。


離婚、交通事故、借金、親の介護、近隣トラブルなど、社員が直面する可能性のあるトラブルは多岐にわたります。
こうした誰もが直面するトラブルの際に、会社が社員に顧問弁護士を紹介し、社員をフォローする制度を設ければ、社員を会社に根付かせる上で有効な福利厚生制度になるでしょう。

※コンテンツ内で事例をご紹介する場合、作成当時の法律に基づきますので最新の判例と異なる可能性があります

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