ケース6 専門家の紹介

【事例】

A社の株式を100%保有しているA社長は、そろそろ70歳を迎えようとしており、長男に跡を継がせたいと考えている。


A社長には3人の息子がいるが、二男と三男はA社とは関係していない。兄弟仲は良く、二男と三男も、長男が跡を継ぐことに納得している様子である。

【顧問弁護士なし】

A社長は、遺言書など書かなくても争いにはならないだろうと思っていましたが、長男に促されて遺言書を書くことにしました。
便箋に、すべての遺産を長男に譲ること、長男を立てて、兄弟仲良くしてほしいと記載し、封筒に入れて遺言書と表書きをして金庫にしまいました。


A社長が亡くなったあと、長男は金庫から遺言書を取り出し、兄弟たちに示しました。
すると二男は、遺言書の日付が「平成26年12月吉日」と書かれていることや、筆跡がおかしいと主張して、遺言書は無効ではないかと言いだしました。


また三男は、最初はすべて長男が相続することで納得した様子でしたが、後日、遺留分を主張するつもりだと言いだしました。三男自身はそれほど遺留分にこだわる様子ではありませんが、どうも三男の妻が、もらえるものはもらうべきだと強く言っているようです。


二男も三男も、長男が跡を継ぐのは構わないが、自分の取り分はもらいたいという考えだったのでした。

【顧問弁護士あり】

 A社長は長男に促されて、顧問弁護士に相談することにしました。


相談を受けた顧問弁護士は、経営承継円滑化法を利用し、A社長の生前に、長男にA社の株式を贈与させ、二男・三男の了解を得て遺留分の基礎評価額からの除外を行いました。
また公正証書遺言の文案を作成し、公証役場を予約して、A社長に公正証書遺言を作成させました。


A社長の資産を調べたところ、それでも相当額の遺留分が発生することは確実であったため、生命保険に加入して遺留分の支払に備えさせることにしました。


おかげで長男は、相続発生後、すみやかに遺留分の支払いを行うことができ、また生前に父親から十分な説明を受けて納得していた兄弟たちと、相続後も円満な関係を続けることが出来ました。


さらに顧問弁護士から紹介された信頼できる不動産鑑定士や税理士のおかげで、財産の適切な評価・申告を行うことができ、相続税の負担を最小限に抑えることが出来ました。

【コメント】

事業承継は相続に関連して非常に複雑なトラブルに発展しがちです。
家督相続の名残のある世代では、「事業は長男が継ぐのが当然」「他の子どもたちも分かっているはず」「いままで自分の意向に子どもたちが反抗したことはない」などと考えるケースも見られますが、いまや法定相続分どおりもらうのは当然と考えるのが一般的になっています。


また「この程度の会社資産でもめるはずがない」と安易に考えておられる経営者もおられますが、むしろ資産が少ない時こそ問題です。
資産が少なく、相続によって資産を分けてしまえば事業継続が困難な場合にこそ、十分な対策が必要なのです。


誰しも、自分の死後に相続人が争うようなことはないと信じたいものですが、万一にも後継者の方が、相続によって事業に不可欠な資産を失うことがないよう対策をしておくことは、他の相続人にも争う機会を与えないことにつながり、結果として不毛な相続争いから相続人全員を守ることができるのです。

こうした対策を練るには、ご自身の資産、ご家族の関係、今後の会社の行く末など、あらゆることを話せる信頼できる弁護士が必要です。
普段から信頼し、一緒に会社の問題に取り組んでいる顧問弁護士にこそ相談できることではないでしょうか。

※コンテンツ内で事例をご紹介する場合、作成当時の法律に基づきますので最新の判例と異なる可能性があります

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