A社のところに、最近業績が下降していると噂のB社から大口の注文が入った。
まだ大丈夫だとは思うが、多少の安全策を講じておきたい。
A社担当者は、取引にあたってこれまで作られていなかった契約書を作成して取引の安全を図ろうと考えましたが、B社担当者に「長い取引なのに信用していないのか」「契約書なんて作ろうとすると上司の決裁を取るのに時間がかかる」「なんなら他社にお願いしてもいいと思っている」などと押し切られ、契約書を作らせてもらえませんでした。
それでも大丈夫だろうと思っていたところ、支払遅延が発生。
B社は違約金や遅延損害金などの契約条件のある取引先への支払いを優先し,A社への支払を後回しにしたのです。
A社担当者は、契約書作成を渋るB社担当者に、
「最近契約した顧問弁護士がうるさくて、社として契約書のない取引を今後しないことになったんですよ」
「うちは顧問弁護士が契約書をチェックしますから文案はすぐにできますよ」
「一度作れば今度からは同じものを使えばいいですし」
などと、契約書作成は顧問弁護士の指示であり、社の方針であって、担当者レベルではどうすることもできないと粘り、契約書の作成に応じさせることが出来ました。
その結果、B社は違約金・遅延損害金などのペナルティーを警戒して期日通りに支払を行いました。
契約書の作成がなされないまま取引がなされ、さらに追加取引までなされることもあります。
なにもトラブルが発生しなければいいのですが、いざ支払いが滞ったりすると、契約の内容が客観的に明らかでないために、大きなトラブルに発展することがあります。
商人間の取引は商事法定利率6%が法定されていますが、契約上は14.6%など高額の遅延損害金が定められることも珍しくはありませんし、違約金として代金倍額などといった契約がなされることもあります。
こうしたペナルティーが定められていれば、それを警戒して支払いが優先的になされることが期待できますし、いざ支払いが滞った時には遅延損害金等を含めて回収を行うことができます。
契約書の作成を嫌がられることも珍しくありませんが、顧問弁護士に責任を押し付けることで取引先に作成をお願いしやすくなります。
※コンテンツ内で事例をご紹介する場合、作成当時の法律に基づきますので最新の判例と異なる可能性があります
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