相続人が養子縁組をしている場合,相続資格が重複する場合があります。
たとえば,
①祖父母が,亡くなった長男の子ども(孫)を養子にしたあと,祖父が亡くなった場合
(孫は祖父の養子であり,長男の代襲相続人でもある)
②夫婦が,夫の非嫡出子を養子にしたあと,夫が亡くなった場合
(子どもは養子であり,かつ非嫡出子でもある)
③妻が夫の両親と養子縁組したあと,夫が亡くなった場合
(妻は夫の配偶者であり,かつ兄弟姉妹でもある)
このような場合,相続資格を複数持っている人の相続分はどうなるでしょうか。
①の例では,相続資格の重複を認め,孫には,子どもとしての持分と,代襲相続人としての持分の両方が認められます。
祖父母としては孫にできるだけ多く残したいと考えて養子にしたものと考えられるからです。
一方②の例では,相続資格の重複は認められず,子どもには養子=嫡出子としての資格しか認められません。
夫婦が非嫡出子を養子としたのは,非嫡出子を嫡出子として扱おうという意思の表れであり,二重の資格を与えようとしたとは考えにくいからです。
③の例では,妻には配偶者としての相続分だけが認められます。
夫の両親は妻と養子縁組をして子どもとして扱う意思を示していますが,亡くなった夫自身は,妻を配偶者とするという意思しか示していないのですから,妻に配偶者としての持分以上に兄弟姉妹としての持分まで認める必要はないでしょう。
2012/06/07
※コンテンツ内で事例をご紹介する場合、作成当時の法律に基づきますので最新の判例と異なる可能性があります
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