賃貸借と消費増税について

消費税の増税時期が近くなってきました。
賃料に課税される消費税についてご相談がありましたので,増税に伴う経過措置について確認してみます。


平成8年10月1日から平成25年9月30日までの間に締結した資産の貸し付けに係る契約(賃貸借契約)に基づき,施行日前から引き続き当該契約に係る資産の貸し付けを行っている場合において,当該契約の内容が次の①および②,または①および③に揚げる要件に該当するときは,施行日以降に行う当該資産の貸し付けについては,旧税率が適用されます。ただし,平成25年9月30日以降に当該資産の貸し付けの対価の額の変更が行われた場合,当該変更後における当該資産の貸し付けについては,この経過措置は適用されません。
①当該契約に係る資産の貸付期間及びその期間中の対価の額が定められていること。
② 事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと。
③ 契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと並びに当該貸付けに係る資産の取得に要した費用の額及び付随費用の額(利子又は保険料の額を含む。)の合計額のうちに当該契約期間中に支払われる当該資産の貸付けの対価の額の合計額の占める割合が100分の90以上であるように当該契約において定められていること。


よく問題となりそうな事例を2つ紹介します。


1 賃料改定条項のある契約


一般的な賃貸借契約書には,事情変更により賃料が変更される旨の規定が含まれています。
「事情の変更があった場合には賃貸人は賃料の増額を請求できる」旨の規定であれば②の要件を満たしません。
また「事情の変更があった場合には契約当事者は賃料額の変更について他方当事者に対し協議を求めることができる」などのように,賃貸人が一方的に賃料の変更を求めることができる規定ではない場合も,貸付期間中の対価が定められている(固定されている)とは評価できず,①の要件に該当しないと解釈されます。
従って賃料改訂条項がある場合はおおむねこの経過措置の適用を受けられないと考えられます。
なお「契約成立後5年ごとに賃料額を協議する」などのように,少なくとも一定期間は賃料が固定されている場合にはその期間が終了するまでの間経過措置の適用を受けることになります。


2 自動更新条項のある契約


一般的な賃貸借契約では,「賃貸期間満了の6か月前までに当事者双方から更新拒絶の申し出がない場合には同一条件で契約が更新される」などといった自動更新条項が定められています。
経過措置の適用があるのは,平成8年10月1日から平成25年9月30日までの間に締結した契約に基づき,施行日(平成26年4月1日)前から引き続き賃貸を行っている場合ですので,自動更新条項がある場合には,次のように場合分けされます。


平成26年4月1日以降に更新拒絶期間の満了日が来た場合
従前の契約が終了し,新たに同一条件の賃貸借の合意があったとみなされますので,平成26年4月1日から次の賃貸期間開始までの間は経過措置の適用を受けますが,次の賃貸期間から経過措置の適用はありません。


平成25年9月30日から平成26年4月1日までの間に更新拒絶期間の満了日が来た場合
平成25年9月30日までに締結された契約は終了し,新たな契約が締結されたとみなされますので,経過措置の適用はありません。


平成8年10月1日から平成25年9月30日までの間に更新拒絶期間の満了日が到来し,新たな賃貸期間が平成26年4月1日以降も継続している場合
次の賃貸期間が始まるまでは経過措置の適用を受けます。


各要件の具体的な解釈については国税庁のHPにQ&Aが掲載されていますので参照してください。
消費増税に伴う経過措置は適用「してもよい」ものではなく,適用「しなければならない」ものですので,賃借人から間違いのないよう徴収しなければなりません。
ちなみに,住宅の家賃については従来通り非課税ですので,消費税の増税は関係ありません。

2014/01/06

※コンテンツ内で事例をご紹介する場合、作成当時の法律に基づきますので最新の判例と異なる可能性があります

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