交通事故:取締役の休業損害

サラリーマンなど給与所得者や専業主婦が交通事故にあい,仕事や家事ができなくなった場合,休業損害の賠償を求めることができます。これに対し,会社役員の場合には処理が複雑です。


会社役員の場合,事故にあって仕事ができなくても,役員報酬は減額されずに満額支払われるケースが少なくありません。税法上,役員報酬を経費として損金処理するには定期・同額払いでなければならず,減額すると税務署に損金算入を否認される危険があるからです。
交通事故でけがをしても収入が減らない以上,役員本人に休業損害はありません。したがって役員本人が休業損害の賠償を請求することはできないと考えられています。
一方,会社としては,役員がけがをして働けないのに,報酬を満額支払っているのですから,損害が発生しています。
そこでこのような場合には,会社が事故の加害者に対し,損害賠償を請求することができるとされています。


ただし,請求できるのは支払った役員報酬全額とは限りません。
役員報酬には,サラリーマンの給与とは異なり,労働の対価だけではなく,会社の利益処分(会社経営者として受ける利益の配当)としての部分が含まれていると考えられ,この部分は休業しても失われないので,損害から除かれます。
役員報酬のうち,労働の対価部分がどれだけで,利益処分の部分がどれだけなのかは明らかではなく,会社の規模や,利益状況,仕事の内容,同年齢のサラリーマンの平均給与額などを参考に判断されます。

2012/05/09

※コンテンツ内で事例をご紹介する場合、作成当時の法律に基づきますので最新の判例と異なる可能性があります

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