円高,国内消費の低迷,海外との価格競争など,厳しい経営環境を強いられている業種の多いなか,経費節減のしわ寄せは弱い立場の下請業者に集まります。
そこで下請法は,親事業者が強い立場を利用して下請業者に無理難題を押し付けることのないよう規制しています。
以下に,親事業者に課される義務や,どのような行為が禁止されているかを挙げました。
違反行為には,公正取引委員会の勧告,罰金,遅延損害金の加重などの制裁が加えられます。
1 親事業者の義務とされる行為
① 書面交付義務
親事業者は,下請契約の際,直ちに発注書面を下請業者に交付しなければなりません。
違反行為には50万円の罰金が課されます。
② 書類の作成・保存義務
親事業者は,下請取引に関する事項を記載した書類を作成・保存する義務があります。
違反行為には50万円の罰金が課されます。
③ 下請代金の支払期日を定める義務
下請代金の支払期日は,給付受領から60日以内です。
支払期日が60日以降の場合や定めがない場合には,60日後が当然に支払期日になります。
④ 遅延利息の支払義務
支払が遅れた場合,給付受領から60日目以降,年14.6%の遅延損害金が発生します。
2 禁止される行為
① 受領拒否の禁止
親事業者は,下請業者に責任のない理由で給付の受領を拒否することはできません。
下請業者は,受領遅滞を理由として損害賠償を請求できます。
② 下請代金の支払遅延の禁止
親事業者は,給付受領の日から60日以内に下請代金を支払わなければなりません。
下請業者から下請代金の支払期日延期について了解を得ても無効です。
③ 下請代金の減額禁止
発注時に決められた下請代金は減額できません。
手数料,協力金,販促費などの名目で下請代金を減額することも禁止です。
④ 返品の禁止
下請業者に責任のない理由で返品することはできません。
⑤ 買いたたきの禁止
市場価格やそれまでの取引実績価格など,通常の価格より著しく低い下請代金の額を
不当に定めることはできません。
⑥ 購入・利用強制の禁止
親事業者が,下請業者に,グループ企業の商品を買わせるなど,
特定の商品の購入やサービスの利用を強制することはできません。
⑦ 報復措置の禁止
下請法違反を通報したことを理由に,下請取引の量を減らしたり,
取引停止するなどの報復措置は禁止されます。
⑧ 原材料等の対価の早期決済の禁止
親事業者が下請業者に有料で支給した原材料などの代金を,
その原材料を使った商品等の下請取引の支払期日より
早く相殺したり,支払わせたりするのは禁止です。
⑨ 割引困難な手形交付の禁止
手形サイトが120日(繊維業なら90日)を超える手形など,
割引困難な手形による支払いは禁止されます。
⑩ 不当な経済上の利益の提供要請の禁止
協力金,協賛金などを下請業者に支払わせたり,下請業者の従業員に
親事業者の業務を手伝わせるなど,不当な利益提供要請は禁止されます。
⑪ 不当な給付内容の変更・やり直しの禁止
下請業者に責任のない理由で発注内容を変更したり,
やり直しをさせることは禁止されます。
2012/04/26
※コンテンツ内で事例をご紹介する場合、作成当時の法律に基づきますので最新の判例と異なる可能性があります
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